対処すべき課題

CASE革命と呼ばれる100年に一度の変革期にあって、自動車業界を取り巻く環境は大きく変化しています。当社は、人類全体の課題である脱炭素社会実現への貢献を最重要課題の一つとして認識し、事業活動におけるCO2排出量の削減を図るとともに、EVシフトによって誕生する次世代市場を開拓する準備を業界に先駆けて行っています。この課題を解決するためには、当社の従来の事業モデルを変革し、更なる進化を図るとともに、変革の担い手となる多様な人財の発掘・育成が必要であると考えています。
当社グループでは、4つの新経営戦略として「地球環境への対応(気候変動対応)」、「EV関連事業の確立」、「人財の多様性向上」、「既存事業の変革」を掲げて中長期的な成長を目指した取り組みを推進しています。さらに、持続的な成長を支える基盤として、コーポレートガバナンス・コードを踏まえたガバナンス改革を推進するとともに、透明性の高い内部統制システムの構築に努めています。
地球環境への対応(気候変動対応)
持続可能性な脱炭素社会の実現に貢献するため、「2050年度カーボンニュートラル」を目指して温室効果ガスの削減に取り組んでいます。
化石燃料由来の電力利用に伴うCO2の排出については、生産拠点の所在する国ごとの地政学に基づいた個別の排出量削減施策を検討しています。また、材料由来の排出量削減のため、リサイクル性の高いアルミを新材とする生産技術の確立に取り組むとともに、従来の鋼材領域では完成車及び材料メーカーとの協働によるグリーンマテリアルの適用検討等を行っています。
取り組みの開示にあたっては、気候変動に伴う事業活動に与えるリスクと機会を抽出するなど、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに沿った対応を行っています。
EV関連事業の確立
加速するEVシフトの潮流を当社の事業拡大の機会と捉え、EVに用いられるモーターコアとバッテリーハウジングを主軸としたEV関連事業の確立に取り組んでいます。
モーターコアの領域では、既存のトランスミッション事業で培ってきたノウハウ・技術を駆使した事業展開を企図して、東京都に所在する拠点に実証ラインを導入し、量産を想定した技術開発を進めています。
バッテリーハウジングの領域では、ドイツのエンジニアリング会社と連携して軽量かつリサイクル性の高いアルミ材を適用材としたバッテリーハウジングの開発を進めています。さらに、当社がこれまで培ってきた車体一台解析技術を基礎として、高剛性と軽量化を高次元で両立したEVの最適プラットフォームを提案するサプライヤーを目指します。
人財の多様性向上
当社は、人財こそが最も重要な経営資源であると位置づけています。当社の課題解決を担う国内外の多様な人財が自ら学び、考え成長することを支援する環境作りと企業風土の醸成に努めています。
従来から採用してきた工業系・機械系の人財のみならず、EV関連事業等の新事業領域の専門人財の採用に注力しているほか、これまでにないイノベーティブな事業創造あるいは巧妙化するサイバー攻撃への対応等の必要性を認識し、IT・データサイエンスなどの最先端領域においても有能な人財の獲得を進めます。
既存事業の変革
現在、完成車メーカー各社は急速なEVシフトへの対応としてEV車開発を行うのと同時に、新たなサプライやチェーンの構築にも取り組んでおり、業界全体として開発リソース、調達リソースが逼迫しています。このような状況下で当社は、これまで培った車体一台解析技術と生産技術を駆使して、開発から一括受注する車体領域のシステムサプライヤーを目指します。地域や製品に応じた外部とのアライアンスをジーテクトネットワークとして新たに構築し、必要に応じ生産の外部委託を活用することで、車体一台分の生産・販売を行います。