社外からの評価
第三者意見
2020年9月18日現在
松川 恵美
2019年(一社)コレクティブ・アクション設立、代表理事。国際環境NGOのCDP シニア・マネジャー兼任。サステナビリティ経営・開示、 クリーンテクノロジー、ESG投資などが専門。上場企業や機関投資家、起業家向けにコンサルティングを提供。東京外国語大学卒業後、富士通入社、調査・コンサル会社などを経て2011年(株)グリッド&ファイナンス・アドバイザーズ設立、元代表取締役社長。主な実績は、環境省「環境報告ガイドライン及び環境会計ガイドライン改定に関する検討会」委員、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人 )「スチュワードシップ責任及びESG投資のあり方についての調査研究業務」プリンシパル・コンサルタントなど。登壇は、環境省主催「ESGシンポジウム」、東京大学木材利用システム研究会「ESGの課題から考える企業の持続的成長戦略」、林野庁「デフォレステーションゼロ・シンポジウム」、21世紀金融行動原則・環境省「長期投資家のESG 評価」ほか多数。
新サイトが示す開示の姿勢
新しく開設されたCSRサイトを拝見して、ますます強くなるサステナビリティー経営に関する情報開示への要求に対して、誠実に応えようというジーテクトの姿勢が表れているという印象を受けました。計画や実績の報告に加え「ESGデータ」という名称でまとまった項目も設置されました。このような開示は、ESG投資家をはじめ、国際社会、グローバルな取引先などと、より良い対話と関係を構築する基盤となるでしょう。
バウンダリー拡大への期待
グローバルなESG評価の観点から実績に関する報告を見ていきますと、計画と実施、結果という開示のサイクルが充実してきており、特に環境への取り組みでは、海外を含め連結子会社における対応をバウンダリーとした数値が報告されています。また人権の尊重に関して「行動指針」を刷新するなど、より良い職場づくりへの努力が表れている一方で、以前から課題となっている労働や人権課題でカバーすべき分母(「従業員」の範囲)や、周知徹底の仕組みが、やや曖昧なままです。特に海外の労働現場にこそ人権や腐敗のリスクがあると想定されますが、明らかな方針が見受けられません。ダイバーシティー&インクルージョンを推進する委員会の設置は、実践を伴う大きな前進です。グローバル企業として、海外全域を対象とした数値目標と成果の開示を期待いたします。
パリ協定との整合性
トップメッセージでも示されている通り、モビリティーの世界はこれまでにない変革期を迎えています。特に気候変動に伴う社会の変化は、ジーテクトのビジネスにとって重要な要素として、関連するリスクと機会を見極めていく必要があります。 ジーテクトのGHG排出量削減目標は、これまでやや低いという評価でしたが、今回、パリ協定と整合する目標を目指し、SBT(Science Based Target)を採用する方針を決めたことを公表されました。このシナリオの中で、どのような戦略が見出されるか、注目していきたいと思います。
Beyond CSR
2016年に定義したマテリアリティは、この数年で大きく変化した世界の現状を反映するためにも、課題のアップデート、長期的な視点、客観的外部要因の重視などを取り入れていく時期に来ていると思います。その上で、「果たすべき責任」や「社会への貢献」というCSRの範囲を超え、ESG課題と深く関連するビジネスの「リスクと機会」を認識し、サステナブルな経営の体制を強化する方向性を開示してほしいと考えます。
以上
一般社団法人コレクティブ・アクション
代表理事 松川恵美
第三者意見を受けて
当社のCSRサイト更新にあたり、松川様には貴重なご意見をいただき誠にありがとうございました。当社への更なる期待をお寄せいただき、そのご期待に応えられるよう努力していきたいと思います。また、ご指摘いただいた内容は真摯に受け止め、今後は多くのESG情報が海外子会社を含めた連結ベースでの開示となるよう社内の仕組みを強化するとともに、合理的な目標を設定し成果を開示できるよう推進していきたいと思います。そのため当社は、これまで年1回発行してきた「CSR報告書」ではなく、ホームページによる情報開示に一本化することといたしました。ウェブサイトの特性を活かし、情報の更新頻度を増やすとともに、より多くの情報開示に努めたいと思います。
また、2016年に特定した当社のマテリアリティ(重要課題)についても、世の中の変化やESGに関する長期的な視点を取り入れていきたいと思います。
当社はこれからもサステナブルな社会の実現に積極的に貢献し、プレーヤーとして参加してまいりたいと考えています。その為にも更に多くの社会課題の解決に取り組み、ステークホルダーの皆様にはホームページを通じて当社の取り組みを分かりやすくお伝えできるよう努力してまいります。
引き続き皆様からのご意見を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
CSR活動事務局:経営企画室