開発部 知財開発課 課長
E.G.【東京ラボ】
Challenge
新卒で、2006年にジーテクトに入社。最初は、設備・金型・部品などを購入する購買部に配属されました。当時の状況でいうと一般職が廃止され、全員が総合職に転換されたばかり。そこから今のように女性も働きやすい環境に変わっていく、まさに過渡期を過ごしてきました。
女性バイヤーは少ない状態でしたが、「バイヤーとして成長していきたい」という意思を持って仕事に取り組んだことで、部品担当も経験させてもらえました。当時はやったことがないことばかりで、どう決めればいいのかと毎回悩んでいましたが、徐々に自分で決めていけるように。
その後グローバル調達をする機会があったのですが、やったことがないことでも海外子会社の方に教えを請いながら、無事遂行できるまでになりました。
ジーテクトがダイバーシティに取り組み始めた頃、女性向けのリーダー研修が開かれ、女性社員同士でキャリアについて話す機会がありました。私自身、それまでは仕事に対して少し受け身の姿勢がありました。しかし、皆と話すうちに「やっぱり仕事をがんばりたい」という気持ちや「自分だったらこうするのに」という意志があることに気づき、勇気を出して管理職試験を受けることにしました。
Don't be
afraid
無事試験に合格し、管理職になったタイミングで知財への異動を聞き、とても驚きました。知財はもちろん、法律に関連するような知識も経験も持ち合わせていなかったからです。
知的財産は当時開発部の管理職の方が業務と並行して行っていた状態だったのですが、そこに私が知財専任という形で入りました。驚きはしたものの、新しいことを勉強することに対して抵抗はなかったので、自分の役割を認識して取り組もうと考えました。
そこから2年間開発部の中で専任として取り組む中で実績を出せたこともあって、その翌年に知財開発課が新設され、現在私を含め4人体制で業務を推進しています。
当時は右も左も分からない状況だったのでいろいろ悩みましたが、「こういう本あったよ、これ読んでみたら?」と役員が教えてくれたり、いろんな人が声をかけてくれてチェックしてくれたり。自然とサポートしてくれる文化があったので、助かりました。
「1人で全部をやらなくちゃ」と気負わずに済んだのは、面倒見の良い職場だったからだと思います。本当にありがたいですね。
メンバーは完成車メーカーさんで知財に数十年取り組んできたベテランの方と、新卒の3人です。新卒の2人は配属当時の私と同様、知財に関する知識がない状態でしたが、今は仕事がとても楽しいと言ってくれています。
楽しいと言ってくれている理由は恐らくふたつあって、ひとつは発明の過程や苦労などの開発秘話が聞けること。もうひとつは「この特許化は難しい」と言われた案件でも皆で知恵を絞って諦めずに取り組み、特許登録ができることです。また、同期が“発明者”として、打合せに参加することもあり、よい刺激にもなっていると思います。
ベテランの方は持っている知識を活かしてアドバイスなどをお願いしているのですが、本当に発明抽出のポイントや特許になるポイントをご存じなので、特許出願の精度を高めてくれていると感じます。
新卒の2人はやったことがないことでも「チャレンジしてみたいです」と言ってくれるので、渡す仕事を選ばず、まずはやってもらうことを心がけています。もちろん進めていくうちに不安や悩みが出てくるので、こまめにコミュニケーションをとって一緒に解決していく形です。
たまたまこの方法に行き着いたのですが、なんと松下幸之助さんもそのやり方だったと管理職研修で聞いて、それ以来自信を持ってやれるようになりました(笑)。
Contribute
現在は課員が増えて出願数が増えたため、去年だけで14件の出願ができました。審査の時差があるのですが、今年の現時点(2021/11/18時点)で10件の登録ができています。専任になる前は年に1件程度だったので、大幅なスピードアップが図れました。ジーテクトの技術を守れていることを実感できるので、本当に嬉しいですね。
今後は特許の出願だけでなく、IPランドスケープ(市場、自社の知的財産を分析して経営戦略に役立てる手法のこと)に取り組んでいきたいと考えています。自動車業界で求められている脱炭素化や自動化、電動化などの課題解決につながるアクションを提案していきたいですね。
より事業に貢献できるようになるために発明者向けの研修実施、リエゾンマン(フランス語で中継ぎという意味:知財と開発を結びつける役割を担う人)を各部門に1名任命して、関連する特許情報の読み込み、発明の拾い上げをお願いしています。来年までにはこういった制度を整えて、海外にも展開しようという話が出ています。
また、開発部ではGoogleさんや3Mさんなどがやっていることで有名な「業務の何割かをプロジェクト探索や取り組みに使って良い」というルールを運用しており、定めた時間を使って、新しいテーマの要素探しが可能です。
こうした活動を特許取得に、さらにIPランドスケープへとつなげ、ジーテクト全体の発展に貢献していければと思っています。
最後に女性の働きやすさやキャリアという点では私の入社当時とは大きく異なり、「男女差を感じない」と言われるくらいになってきたので、ジーテクトも大きく変化したと感じます。
これは女性に限りませんが幅広いキャリアを歩んでいきたいと考えているなら、自分で限界を決めず、まずは「やってみたい」と口に出すことが大事だと思います。その少しの勇気が、きっと仕事のやりがいや、キャリア形成につながっていくのではないでしょうか。
私もそうでしたが、不安があったとしてもチャレンジしてみれば思わぬ実力を発揮できる、あるいは周囲が助けてくれるなどで大抵のことはなんとかなります。信じて飛び込んでみると、また違った世界が見えるようになると思いますよ。
※所属・役職・内容はインタビュー当時のものです。